ベストラー小説の映画化『望み』鑑賞後に余韻が残る作品
全体的な雰囲気は好きな作品だったのですが、少しあっさりとし過ぎかな?という部分もあったので点は少し低めにしてます。
50点(100点満点)
2020年製作/108分/G/日本
配給:KADOKAWA
【解説】
堤幸彦監督と堤真一が初タッグを組み、雫井脩介の同名ベストセラー小説を映画化したサスペンスドラマ。一級建築士の石川一登と校正者の妻・貴代美は、高校生の息子・規士や中学生の娘・雅とともに、スタイリッシュな高級邸宅で平和に暮らしていた。規士は怪我でサッカー部を辞めて以来、遊び仲間が増え無断外泊することが多くなっていた。ある日、規士が家を出たきり帰ってこなくなり、連絡すら途絶えてしまう。やがて、規士の同級生が殺害されたニュースが流れる。警察によると、規士が事件に関与している可能性が高いという。行方不明となっているのは3人で、そのうち犯人と見られる逃走中の少年は2人。規士が犯人なのか被害者なのかわからない中、犯人であっても息子に生きていてほしい貴代美と、被害者であっても彼の無実を信じたい一登だったが……。貴代美役に「マチネの終わりに」の石田ゆり子。「八日目の蝉」の奥寺佐渡子が脚本を手がけた。
(以上、映画.comより)
【オフィシャルサイト】
【スタッフ】
監督:堤幸彦
原作:雫井脩介
脚本:奥寺佐渡子
製作:堀内大示 楮本昌裕 松木圭市 鈴木一夫 飯田雅裕 五十嵐淳之
企画:水上繁雄
音楽プロデューサー:茂木英興
撮影:相馬大輔
【キャスト】
石川一登:堤真一
石川貴代美:石田ゆり子
石川規士:岡田健史
石川雅:清原果耶
野田弘美:早織
寺沼俊嗣:加藤雅也
織田扶美子:市毛良枝
内藤重彦:松田翔太
高山毅:竜雷太
飯塚杏奈:松風理咲
「感想」
最初にこの映画のポスターを見た時は、完全に『パラサイト半地下の家族』の構図と似ていたのでオマージュ?かなと思ってしまったのですが…映画として全く別物でした。
「望み」というタイトルの通り、息子が殺人犯とは思えず被害者であると信じる父(堤真一)と殺人犯であっても生きていて欲しいと願う母(石田ゆり子)、そして今後の人生の事を考えて父と同様に殺人犯であって欲しくないと願いを持つ妹(清原果耶)、それぞれの「望み」の結末がどうなるかが今作の見所となっております。
私は、これまで堤監督に対して『トリック』『SPEC』などドラマの映画化を得意とするイメージを持っており、逆に『包帯クラブ』『20世紀少年』『イニシエーションラヴ』などの映画オリジナル作品は、そこまで印象に残る作品は無く無難な作品が多いなという印象だったのですが、今作を鑑賞して少し堤監督の印象が変わりました…。
どの様に変わったかと言いますと堤監督は原作を忠実に再現するのが上手いなと思いました。『望み』は映画を鑑賞後に原作も読んだのですが、原作のイメージをしっかり掴みながら映画としてまとまりある作品になっているので、しっかりと原作にリスペクトを持って映画作りをしているんだなと。
※ただ、もう少し映画としてオリジナル要素を出して良いかな?と同時に感じました。
後もう一点、今作で発見だったのは堤真一の演技です。息子を思う苦悩する父親の役が堤さんとマッチングしており、表情一つ取っても周りの役者さん達と比較しても際立っておりました。特に泣く演技は必見です!
個人的には、映画よりもドラマの方が向いてい作品かなと思っているのですが、ラストはモヤモヤしないラストかと思いますので早めに観たい方は映画館で観ても良いかと思います。